足の痛みを自覚しやすい
女性アスリートの三主徴 Female Athlete Triad (FAT)
「摂食障害の有無に関わらない低エナジー・アベイラビリティー」、「機能性視床下部性無月経」、「骨粗鬆症」などを女性アスリートの三主徴と呼びます。
激しいトレーニングが原因で、それぞれの症状が関連してきます。
1. 低エナジー・アベイラビリティー
エナジー・アベイラビリティーは日常生活で使えるエネルギー量のことをいい、これが少なくなりすぎると代謝やホルモン機能に異常をきたし、月経異常や骨粗鬆症、運動能力や健康状態に影響を及ぼします。
2. 機能性視床下部性無月経
無月経とは90日以上月経がない状態をいいます。無月経には初経発来がない原発性無月経と、初経を経験した後に脳の異常により無月経となる続発性無月経があります。
続発性無月経のうち運動が原因となるものを運動性無月経といいます。
運動性無月経は激しいスポーツ活動や低体脂肪率や低体重が原因となることが多く、競技レベルの比較的高いアスリートや、陸上長距離や新体操等の体脂肪率が低い持久系競技やボディメイク競技に多くみられます。
3. 骨粗鬆症
骨粗鬆症とは骨がもろく、骨折をおこしやすい状態をいいます。
骨密度は適度な運動によって骨に刺激を与えて保ちますが、女性アスリートのように運動量が多く、極端な食事制限を行っていると骨密度が低下し、競技力及び健康面に悪影響を及ぼすことが指摘されています。
どのスポーツでも無月経者は正常月経者に比べて骨密度が低くなるという結果となっており、過度な食事制限や食事制限に伴うホルモンバランスの乱れなどの問題によって骨密度の低下が起こりやすくなっています。
人間の最大骨量は成長期に決まると言われています。なので10代など若い時から食事制限を始めると最大骨量が上がらないことから、大人になってからの骨粗鬆症になる確率が高くなります。
過度な運動だけでなく、過度な食事制限を行うことは危険で、学生時期の指導者やご両親の栄養教育がとても大事になります。
参考文献
1) Nattiv A, Loucks AB, Manore MM, Sanborn CF, Sundgot-Borgen J, Warren MP. American College of Sports Medicine position stand. The female athlete triad.
Med Sci Sports Exerc 39 (10): 1867-1882. 2007. doi: 10.1249/mss.0b013e318149f111.
2) 鳥居 俊, フィーメールアスリートバイブル, 有限会社ナップ, 146-147, 2005.
3) 骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン作成委員会, 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版, 一般社団法人日本骨粗鬆症学会, 日本骨代謝学会,公益財団法人骨粗鬆症財団, 2015(https://www.waseda.jp/prj-female-ath/problem/fat/)
検査や診断について
体に痛みがある場合
1. 触診、徒手検査
問診で痛くなった経緯や場所などを確認します。
痛いと思われる箇所を押してどこに痛みを感じるかを調べたり、体を動かしてどんな動きだと痛みが出るかを検査します。
2. レントゲン検査
必要に応じてレントゲン検査を行い、骨折の有無を確認します。
3. エコー検査
レントゲン検査で異常が無い場合、筋肉や腱の損傷程度を確認するためにエコー検査を行います。
4. 骨密度検査
当院では、DEXAと呼ばれる腰骨と太ももの骨で測る機器を導入しております。
エネルギーの低い2種類のX線を用いて全身の骨密度を測定します。
測定にかかる時間も短く放射線の被曝量も少量で済みます。
いくつか種類がある骨密度検査の中で精度がトップクラスの検査方法です。
※体に痛みが無い場合は骨密度検査のみを行います
治療法
競技でやっている方も中学生、高校生で部活をやっている方も女性アスリートです。
女性アスリートは何度も言っているように骨密度の低下が一番怖い問題です。
骨密度に異常が指摘された場合は骨密度検査を半年か1年に一度は確認するようにしましょう。
さらに当院では、女性特有の問題は男性医師には話にくいこともあると考え、スポーツに理解のある産婦人科医に定期的に出勤してもらい女性アスリートのカウンセリングを行って頂いております。
指導者やご両親になかなか分かってもらえない体の悩みなどを相談することで、メンタルを安定させる事もトレーニングの一環だと考えています。
女性ホルモンのことなど、女性アスリートの問題は整形外科だけでは解決できない問題もあります。
その場合はご安心ください。提携している近隣の婦人科をご紹介いたします。
場合によってはそちらと並行しながらの治療をすることが可能です。
ラグビー日本代表選手や、筑波大学ラグビー部、流通経済大学ラグビー部のチームドクターを務めている医師が診療を担当します。
トップアスリートが受ける治療や、スポーツリハビリ、トレーニングノウハウをご提供する事で症状の改善や再発予防、健康な体作りが可能です。
なお成長期のお子さんの場合、丈夫な体作りには栄養も大切になってきます。その為、親御さん向けに冊子などをお渡しして食事指導も行っています。
レントゲンやエコー、MRIに加えて、姿勢や動作の悪い癖も検査して、症状の原因を明確にしていきます。
その為、症状を改善するまでの時間も短くなり、動作改善も行うので正しい体の使い方が身に付き再発リスクを下げる事が可能です。
リハビリ室のみで約100㎡あります。
その為、ベットの上で行うリハビリだけでなく、鏡を見ながらの動作、姿勢の分析や改善、体操やマシンを使った運動や筋トレまで様々な運動療法が可能です。
そこでアドバイスした内容は冊子又は動画でお渡しする事が可能ですので、それらを見ながら正しい体の使い方を早く習慣化する事が可能です。
その為、ケガを繰り返さない体に変わっていけます。
なおリハビリ後には、1人1人の体の状態にあったパーソナルトレーニングを10分間受けることができので、より高いパフォーマンスが出せる体作りが可能です。
静かな環境で集中してリハビリを行いたい方の為に個室も完備しております。
ご希望の方はお電話でご予約頂くか、ご来院時に受付までお申し付けください。
※個室利用は別途料金がかかります。(2,000円)
小さなお子様がいるママさんも安心して治療が受けられるように、施設内に託児室を完備しております。
毎日の育児や家事で、体のあちこちに痛みが出ているママさんも通院しやすい環境を整えています。
さらにご家族連れでお越し頂いた場合でも、別フロアに落ち着いた雰囲気のカフェがございますので、 治療の間はこちらでお待ち頂く事も可能です。
再発予防
カウンセリングの内容を定期的に当院の女性のアスリート外来を受診することにより、症状などを確認して対応してまいります。
長い目で見ると選手生命にかかわるような症状じゃないと思っても早めに来院をして相談することで問題を悪化させることを防ぐことができます。
まずはご相談ください。
見つけることで重症化を防ぎます。